一夜くんとのアヤマチ。
鵜児くんに辛い思いをさせてしまった私を、私は許すことができなかった。

鵜児くんは、私にフられるためだけに私に告白したんだ。

しかも私がなかなか返事できなかったから、一番嫌な方法で…つまり、自分自身で恋を終わらせたんだ。

「…ゴメン…」

悔しかった。こんなことしかできない私が、悔しくて、情けなかった。

「ゴメンっ…!」

子供のように泣きじゃくることしかできない、弱い私がそこにいた。

「泣かないで」

そしてそんな私を、鵜児くんは精いっぱい、慰めてくれた。鵜児くんに抱きしめられると、何故か安心できた。

保健室に戻った時には、もう次の授業が始まる五分前だった。

「お帰り~…って、日向ちゃん、泣いてる?」
「…べ、別に泣いてないですよ~。人目につくとアレだから屋上に呼んだんですけど、そしたら目にゴミが入っちゃって…やだな、私…」
「別に隠さなくていいのに…」

先輩の言葉は、聞こえないフリをしておいた。

「さてと、じゃあ人も少なくなったし、お昼でも食べますか!」
「そうですね!」

この時間なら、保健室に用がある人はきっと少ない。だから私達はいつも、これくらいの時間にお昼を食べることにしている。

「お、今日の先輩のお弁当、美味しそうですね~」
「日向ちゃんも、料理の腕上がって来たんじゃない?」
「そうですか~?」

…よかった。

やっぱり、いつも通りの日常だ。

だけど…。

それがある日崩れ去るなんて、考えてもみなかった。
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