一夜くんとのアヤマチ。
…だけど、現実はそううまくいかない。

一夜くんに、先輩に、鵜児くん。そして私。四人の反駁をも、理事長ははねのけた。

「では…鷹夏先生を解雇処分に、鴫城君を六ヶ月間の停学処分とします」

職員会議の最後は、この言葉で締めくくられた。

先生達が続々と席を立つ。まるで私なんかいないかのように、部屋から出て行った。

後に残ったのは、私と、一夜くんと、先輩と、鵜児くんの四人だけ。

「…」

無力な自分の悔しさが、涙を出させるのさえも忘れさせていた。

「…仕方ないわよ。理事長、ああいう人だもん」

先輩が声を掛けてくれたけど、耳には入らなかった。

「…」

何も言わずに、私は立ち去った。

「…」

やっぱり、私はあの時消えてしまった方がよかったのかもしれない。これじゃ、周りを巻き込んだだけだ。何の罪もない一夜くんまで、半年も停学処分になってしまった。

これこそ本当に、私のせいだ。

靴を履き、校門を出る。振り返り、学校の景色をもう一度眺める。通り過ぎた風は、全てを運んだか、あるいは何も運ばなかった。だから私は何を感じることもなく、虚しい心のまま歩き出した。

「日向先生!」

後ろから声がする。振り返らなくても分かる。一夜くんだ。
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