一夜くんとのアヤマチ。
「…どうだった？」

うつむいて座っていた一夜くんが、顔を上げる。

「何か…産婦人科に行ってみて、って」
「産婦人科？」
「うん。よく分かんないんだけど…とりあえず、行こう」

階段を下り、受付の人に事情を話す。そして十分後、私は再び診察室へと入った。

「内科からの紹介ですか…」

先生は一通り書類を見ると、いくつかの検査をするとの旨を私に伝えた。そして検査が終わった後、先生はあの言葉を口にしたのだった。

「おめでとうございます」
「ふぇ？」

突然の祝福に、間抜けな声が漏れ出てしまった。

「妊娠三カ月です」

予想と、ほぼ一致した。

診察室を出ると、一夜くんに報告した。

「…あのね、一夜くん。…私…妊娠三カ月なんだって」
「やっぱりか…」

おめでたいことなのに、表情は晴れやかでなかった。それは、私も同じだった。

「…どうしよう…」

お父さんにも、先輩にも、何て説明をしたらいいか分からなかった。

あくまでも教師と生徒の関係でありながら、しかも結婚もしていないのに、子供ができた…。こんなことを知って平気でいられる人が、果たして何人いるだろうか…。
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