一夜くんとのアヤマチ。
「…」
十秒ほどの沈黙の後、先輩は首を横に振った。
「…ダメ。出ない…」
その言葉を聞いた瞬間、私はある考えにたどり着いた。それは恐ろしい考えではあったけれど、私自身の問題ゆえに十分ありうる話だった。
そう考えると、わけもなく涙が出てきた。
「…日向ちゃん…?」
不安そうに私の顔を覗き込んだ先輩だったが、私はすぐに目線をそらしてしまった。
「…見ないでください」
「えっ?」
「…私が人を好きになっちゃいけませんから…」
「何言ってるのよ、日向ちゃん。そんな人いるわけな…」
「私が人を好きになっても、何もいいことが起こらないんです!」
気がつけば私は、先輩の言葉を遮っていた。
…思えば私は、誰かに恋したことなんてほとんどなかった。だがそれも今にして思えば、恋しないように自制していたのかもしれない。
やっと、本当の恋ができたような気がしていた。だけどそれは、あまりにも一瞬で崩れ去ってしまった。
学生時代に、それらしい恋を経験してこなかったのが悪いんだ。恋の学習期間はとっくに過ぎてしまっているのに、私は恋に対する知識をほとんど何も持たないまま、一夜くんとの恋をスタートさせてしまった。失敗から学ぶにしても、少し遅すぎた。
恋は最も典型的な愛である、と、どこかで誰かが言っていた。恋というものは、恋人のみならずそれ以外の色んな人と接していくためにも必要な要素がある。勝手かもしれないけれど、私はそう解釈していた。
だから…まともに恋ができない私が、人を好きになっちゃいけない。たどり着いた考えは、一夜くんのことを好きな私にとってはあまりにも残酷なものだった。
十秒ほどの沈黙の後、先輩は首を横に振った。
「…ダメ。出ない…」
その言葉を聞いた瞬間、私はある考えにたどり着いた。それは恐ろしい考えではあったけれど、私自身の問題ゆえに十分ありうる話だった。
そう考えると、わけもなく涙が出てきた。
「…日向ちゃん…?」
不安そうに私の顔を覗き込んだ先輩だったが、私はすぐに目線をそらしてしまった。
「…見ないでください」
「えっ?」
「…私が人を好きになっちゃいけませんから…」
「何言ってるのよ、日向ちゃん。そんな人いるわけな…」
「私が人を好きになっても、何もいいことが起こらないんです!」
気がつけば私は、先輩の言葉を遮っていた。
…思えば私は、誰かに恋したことなんてほとんどなかった。だがそれも今にして思えば、恋しないように自制していたのかもしれない。
やっと、本当の恋ができたような気がしていた。だけどそれは、あまりにも一瞬で崩れ去ってしまった。
学生時代に、それらしい恋を経験してこなかったのが悪いんだ。恋の学習期間はとっくに過ぎてしまっているのに、私は恋に対する知識をほとんど何も持たないまま、一夜くんとの恋をスタートさせてしまった。失敗から学ぶにしても、少し遅すぎた。
恋は最も典型的な愛である、と、どこかで誰かが言っていた。恋というものは、恋人のみならずそれ以外の色んな人と接していくためにも必要な要素がある。勝手かもしれないけれど、私はそう解釈していた。
だから…まともに恋ができない私が、人を好きになっちゃいけない。たどり着いた考えは、一夜くんのことを好きな私にとってはあまりにも残酷なものだった。