一夜くんとのアヤマチ。
「…日向」
「どうしたの…?」

お父さんは自分の後方にあるクローゼットを指さした。

「…開けてみろ」

この時すでにだいたいの予想がついていたのは事実だったし、その予想通りであることもすぐに証明されることとなる。でも今は信じたくないがために、クローゼットの扉に手を掛けていた。

「…」

恐怖を押し殺すために、無言のまま扉を開けた。そこにいたのは…。

「一夜くん!」

両手両足を縛られ、口にガムテープを貼られた一夜くんの姿があった。

「一夜!」
「動くな!」

駆け寄ろうとする先輩に、黒いものが向けられた。

「お父さん…?」

こんなの、信じたくなかった。だけど目の前に繰り広げられている光景は、紛れもない真実だった。

「口のテープ、剥がしてやれ」

その銃口が、今度は私に向けられる。お父さんだとかそういうのは関係なしに、一人の銃を持った男に脅されて、私は震える手で一夜くんの口のガムテープを剥がす。

「はあ、はあ…」

ガムテープを貼られていると息がしづらかったのだろうか、一夜くんの息は荒れていた。

「…ゴメン、日向…」

一夜くんの最初の言葉は、それだった。
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