一夜くんとのアヤマチ。
「…でも、鵜児くんは鳩山じゃないでしょ? それは…?」
今の話が嘘であることを期待していた。もしかしたらこの場に踏ん張れたのは、それを信じていたからかもしれない。
「…親子の縁を切ったんだ。高校に入学する前、全てを聞かされてね。…恥ずかしい話だけど、僕は一夜のことをその時まで知らなかったんだ。一夜が産まれた時、僕は五歳。そろそろ記憶があってもよかった頃なのにね」
そして鵜児くんの体が、わなわなと震え始めた。
「…許せなかったんだ…一夜のことを隠して僕を育ててきて、それを今になって言うなんて…。それに、僕と一夜は実の兄弟だっていうのに、自分が忙しいからって引き離した…それが許せなかった…!」
肉親を失う辛さは、私だって痛いほど分かる。だけどそこに兄弟との別れ、しかもそれを秘密裏に進めていたということがプラスされると、もう私には鵜児くんの抱えているものの想像すらできなかった。
「そして親子の縁を切ったそのことが…あの夜の引き金となった。そうだよね?」
「うん。あの日、急に天保さんが訪ねてきたの。
『どうしたんですか、天保さん? 急に家に来て…』
『一夜はいるか?』
『いますけど…』
『話があるんだ。一夜に』
思えばその時から、嫌な予感はしてたの。でも、一夜だっていつかは知らないといけないことだから、とりあえず一夜を呼んだわけ。そうしたら…。
『鴫城君』
『…鳩山理事長?』
『君を、烏間高校から退学処分にしようと思っている』
『…は?』
『君は烏間高校にいてはいけないんだ。あそこには闇が多すぎる』
『闇って…?』
『聞いたところで変わる話でもない』
一夜が何回聞いても、天保さんはそれの一点張りだった。
今の話が嘘であることを期待していた。もしかしたらこの場に踏ん張れたのは、それを信じていたからかもしれない。
「…親子の縁を切ったんだ。高校に入学する前、全てを聞かされてね。…恥ずかしい話だけど、僕は一夜のことをその時まで知らなかったんだ。一夜が産まれた時、僕は五歳。そろそろ記憶があってもよかった頃なのにね」
そして鵜児くんの体が、わなわなと震え始めた。
「…許せなかったんだ…一夜のことを隠して僕を育ててきて、それを今になって言うなんて…。それに、僕と一夜は実の兄弟だっていうのに、自分が忙しいからって引き離した…それが許せなかった…!」
肉親を失う辛さは、私だって痛いほど分かる。だけどそこに兄弟との別れ、しかもそれを秘密裏に進めていたということがプラスされると、もう私には鵜児くんの抱えているものの想像すらできなかった。
「そして親子の縁を切ったそのことが…あの夜の引き金となった。そうだよね?」
「うん。あの日、急に天保さんが訪ねてきたの。
『どうしたんですか、天保さん? 急に家に来て…』
『一夜はいるか?』
『いますけど…』
『話があるんだ。一夜に』
思えばその時から、嫌な予感はしてたの。でも、一夜だっていつかは知らないといけないことだから、とりあえず一夜を呼んだわけ。そうしたら…。
『鴫城君』
『…鳩山理事長?』
『君を、烏間高校から退学処分にしようと思っている』
『…は?』
『君は烏間高校にいてはいけないんだ。あそこには闇が多すぎる』
『闇って…?』
『聞いたところで変わる話でもない』
一夜が何回聞いても、天保さんはそれの一点張りだった。