見知らぬ女
「実はあたしも、
美里さんと全く同じ経験をしました。」
私は黙って彼女の話を聞く。
「全て奪われたんです。
家族も友人も、恋人も‥‥なにもかも‥‥‥」
彼女の頬に一筋、涙が伝った。
「すごく悲しかった‥‥。
だって、ある日突然、
今までの自分の生活が
奪われてしまったんだから‥‥‥。
だからあたしは、
こんなイヤなバトンを終わらそうと思った。
もう誰にも、こんな悲しい思い、
してほしくなかったから‥‥‥。」