君の味に落とされて。
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「お母さん~、玲於先輩帰るよ~」
午後7時。
厨房に入っていたお母さんに声をかけにいく。
ケーキを10個も食べきった先輩はさすがにお腹が一杯らしい。
お店にいた数時間、お客さんが少ないときはお母さんが玲於先輩と喋りまくったり、写真を撮ったり…。
迷惑じゃなかったかなぁ先輩。
「これあげてね、玲於くんに。お母さん送れないけど純菜、駅まで行くの?」
お母さんにケーキの箱を渡されながらそう聞かれて、そうしようかな、と頷いた。
ここから駅までの道がわからなかったら大変だもんね。
「じゃあ帰ってくるとき気を付けてね。玲於くんまたね~!」
またそんな大きな声で…他のお客さんいるのに。
まぁ今いるのは常連さんだし、お母さんがこういうキャラって知ってるだろうけど。