君の味に落とされて。




「ってか、そんな忘れかけた1年の文化祭なんていいの!今年は盛り上がれる出し物がいいなぁ」


ふんふーん、と楽しそうな唯を横目に、今年は風邪を引かないといいなぁ、とあたしは呑気に考えていた。


「お化け屋敷とか、定番で楽しそうだよね」


思い付いた出し物を言うと、唯はちっちっと人差し指を軽く振って言った。


「そこは~、メイドカフェとかでしょ。純菜似合いそう」


「カフェ~?そんなのウチで十分だよ」


「あ、そっか」


忘れてた~、と笑っている唯の背後に、こそこそと近づいてきた人物がいる。


唯はまだ気づいてないけど、あたしはまたか、と苦笑してしまった。


「あーさーひーなー!日本史の教科書貸してー!」


「うわっ、後ろででっかい声出さないでよ!」


「にへっ」


唯にボカボカと叩かれているその人は、倉坂 爽(そう)。



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