君の味に落とされて。




1年のころからこの二人はこんな感じ。


隣の席同士になって、息があったというかケンカ友達になったというか…。


でもクラスが変わってもこうしてわざわざ唯に教科書を借りにきたりするから、仲はいいと思う。


見ていて飽きない二人ではあるけど、あたしはあんまり倉坂くんとは絡んだことがない。


「さんきゅーさんきゅー。てかお前も早く着替えればー?5時間目、体育じゃん」


「げ、ホントだ。ってかなんであんたがウチのクラスの時間割り知ってるのよ」


「日本史の教科書借りるときはいつもこのクラス体育だからな!」


「借りに来すぎなのよバカ!」


仲、いいねぇ…教室中の注目の的だよ唯…。


あたしはそっと机の脇に掛けていた体操服を入れたバッグを持ってこの場から脱出。


「あ、あんたのせいで純菜に置いてかれた!じゃーねばいばい!」


「知らないってのー、じゃーな」


そんな会話が聞こえたから、あたしは廊下で少し待って唯と更衣室まで歩いた。



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