君の味に落とされて。
ふと、グラウンドに面している教室棟のほうに目を向けると、眠そうな顔をした玲於先輩と目が合ってしまった。
「…!!」
え、えぇ!
こんな距離で、目が合うなんて思わないよ!
思わず目を逸らしてしまったけど、もう一度チラッと見るとひらひらと手を振られた。
ぎこちなく振り返すと、唯が何々?とあたしの視線の先を追った。
「あ!玲於先輩じゃーん。なーに手なんか振っちゃってぇ」
むふふ、と含み笑いをする唯をべしっと叩く。
唯がそういうこと言うから余計恥ずかしくなるじゃん!
「唯のバカ」
「純菜の春ももうすぐ来るかな~っ」
「もう終わったよ?」
「物の例えよ!」
あぁあ、なんだろうこのくすぐったい感じ。
先輩の顔を見たらちょっと嬉しくなっている自分がいる。
「次Bチーム!ダラダラすんなよ~」
「きゃー!杉浦先生があたしを呼んでるっ」
「呼んでるのはみんなだよ唯さん~」