君の味に落とされて。
あたしの手を引いて、トントンと階段を下りる先輩。
ふわふわと心が浮きだつ気持ちを感じながら、その背中についていく。
「あー待って、俺も荷物取りに行かなきゃ」
くるっと向きを変えて、たぶん先輩は教室に向かって歩きだした。
あたしの視線は繋がれたままの手。
これ、なにか誤解されたらまずいんじゃ…
「ちょ、先輩っ」
「なに?」
「手、離さないんですか?」
というか、なんで繋いだんだろう。
「離したいの?」
なぜかニヤ、と口角をあげて楽しそうな先輩。
「あの…えーと、誤解とか招いたら大変ですよ?」
先輩、モテるのにあたしとなんか手を繋いでるのを見られたら…
あんな子と付き合ってるの?とかさ…。