君の味に落とされて。




「ふ、じゃあこのままでいいね」


「へ?え、え」


またあたしの手を引いて、先輩の教室に入っていく。


ひゃー!?

先輩なに考えてるの!?


「あれ、玲於じゃん!帰ったんじゃなかったのか」


教室に入ったとたん、誰かに声をかけられている先輩。


その人の姿は先輩の背中で見えない。


「よー、良介。まぁもう帰るけどな」


「へー、明日はサボるなよ…って…突っ込むべきか迷ったけど誰その子?」


精一杯、大きな玲於先輩の後ろに隠れているつもりだったけど良介、と呼ばれたその人にバレてしまった。



「んー…、俺のお気に入りの子」



お、お気に入り…?


なんて言うのかとちょっとドキドキしていたあたしに降ってきたその言葉。


お気に入り…ってなんだろう。


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