君の味に落とされて。
どたばた文化祭

*準備期間*





「…まだ雨降ってる」


朝から唯は窓の外を眺めて憂鬱そうに呟く。


「しょうがないよ、梅雨だもん」


あたしも同じように窓際で空を見上げた。


ざぁざぁとすごい音を立てて降る雨が窓に当たる。


「帰りには止んでほしいな~…、あたしさっき傘壊れたし」


風と雨にやられて、あたしの折り畳み傘は二本ぐらい骨が折れてしまった。


ちゃんとした傘を持って出ればよかったんだけど、振りだしたのが家を出てからだったから。


「純菜が風に煽られてる時笑いそうになったよ」


「他人事だと思って…。帰り降ってたら唯の傘に入ってくから」


「え~?しょうがないな~?」


だいぶ意地悪な顔をしている唯のほっぺたをつねっていると、先生が教室に入ってきて、あたしたちは席についた。


「今日一時間目は文化祭の出し物決めるから、なんか考えとけよ~。じゃ、HR始めるぞ」


文化祭か、そういえば唯と話してたしもうすぐなのかぁ。

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