君の味に落とされて。
四苦八苦しながらなんとか着終わって、更衣室を出ようとすると、廊下が騒がしいことに気がついた。
もしかしてだけど…いや、
「絶対、玲於先輩が来てる…」
一旦開けたドアからクラスの方を見ると、やっぱり玲於先輩と友達らしき先輩が数人いた。
こんなの見られたらまたなんかからかわれるって…
よし、先輩がいなくなるまでここにいよう。
ドアを閉めて、近くにあった机に腰かけた。
「あ、でもバイトのこと聞かなきゃなんだった…」
いやいやでも、こんな格好じゃ会えないし…タイミング悪い!
制服にもう一回着替え直せばいいのか。
それなら早くしなきゃ、と制服を手にとって着替えようとした瞬間ガラッとドアが開いた。