君の味に落とされて。




「唯!着替えるから先輩追い出して!」


「え、あ、だそうです先輩」


「まだちゃんと見てないんだけど?」


見なくていいんですよ!


ちらちらと机の影から先輩の様子を伺っていると、なんとこっちに近づいてくる!


慌てて違う方に逃げようとしたけど、後ろの襟の所を捕まれて、逃げられなくなってしまった。


「イヤです先輩ー!離してください!」


そんな猫を持ち上げるようにあたしをつかまないでくださいー!


「ジタバタしないでねーメイドさん」


そしてぐるりと体を回されて、あっさり正面から見られてしまった。


「…」


と、とりあえず顔は隠しておこう…。


両手で顔を覆って、でも先輩の動向が気になって指の隙間から覗く。


「…ふ、」


なんですかその含み笑い…!


つらい…!


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