君の味に落とされて。
「去年は1年生だから参加はなかったんだけど、2年生は1クラス1人出てもらわなきゃいけないんだよね」
去年の文化祭は準備も含めて風邪引いてたからあんまり覚えてないや。
あたしがまだ納得してなそうな顔をしていたからか、唯は、
「ほら、玲於先輩が1位になったやつ」
と言ってくれた。
あぁ…なんか確かにそんなようなことを唯が前に言ってたかも。
「あ、それでなんであたしたちのどっちかなの?」
「だって朝比奈さんは美人だし、佐倉さんは可愛いし!本当は二人で出てもらいたいくらいだよ」
中里さんに無邪気な笑顔で言われて、女子同士なのに可愛いって言われてちょっと照れてしまった。
「純菜はともかく、あたしはパス!」
右手をびしっと上げてパス宣言をする唯。
「え!?あたしだって無理無理!」
「そんなこと言わないでよ~!ほらほら、うちのクラスは森くんとペアで出れるんだよ~?」
森くんて…
あたしは少し教室を見渡し、森君の姿を見つけた。
森 望向(モリ ノゾム)くんは、確かにクラスでもイケメンだし、声をかけられてるところを何度も見る。
「それで…なんで森くんとペア?」