君の味に落とされて。




お昼を過ぎて、ある程度余裕が出てきたから今あるお金の金額を計算しておこうかな。


お金を入れている缶を開けて確認しようと手をのばすと、なにやら聞いたことのある声が聞こえた。


「玲於~、お前が甘いもの好きとか初めて知ったぞ」


「甘いもの好きとは言ってねーけど、ここのはおいしいって言ってるだろ」


教室後方のドアから入ってきた二人を見て固まる。


玲於先輩と良介先輩だ!


しかも…なんか、王子さまみたいな服を着てる…。

玲於先輩、似合うなぁ…カッコイイ。


そういえば…玲於先輩のクラスは劇だって言ってたからその衣装かな。


あぁ、どうしよう、すっごく顔を合わせづらい。


奥に引っ込みたい…!

でもそしたらレジの空いちゃうし。


「そういえば藤がケーキ買ってきてって言ってたから買っていってやろーっと」


「あいつこそ甘いものなんて食うのかよ…」


ぱちっ、と玲於先輩と目が合う。


逸らすかどうするか迷っていると、良介先輩があたしに気づいて声をかけてきた。


「玲於のフェイバリットの子だー!」


なんて大声で言われてしまった。


ぎゃああ…はっ、恥ずかしい!

良介先輩のばかぁ!

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