君の味に落とされて。
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文化祭1日目も終わり、あたしは生徒がほぼ帰った人気のない廊下を歩いていた。
あのあとは唯とたくさん食べて回って、なんだかイヤだった気持ちを紛らわした。
「ちょっと食べ過ぎたな…」
あたしもこのケーキの箱を運んだら、帰ろう。
唯はバスケ部のなにかをやってるらしくて、まだ校内にいるかわからないけど後で連絡してみようかな。
「ふぅ…」
教室に置いてある文化祭のために運びいれた冷蔵庫に最後のケーキの箱を入れた。
ふと頭に浮かぶのは、彩先輩と玲於先輩。
「あぁ~…」
お似合いなのに…あぁ~…、なんでこんなにイヤなんだろう…。
しかも…キス、したのかな。
冷蔵庫の前でうずくまってなんだか色々考えていると、コンコン、となにかを叩く音がした。
顔をあげるとドアから顔を覗かせる玲於先輩がいた。
「なにそんなとこうずくまってんの?」
「ななな、なんでもないです」