君の味に落とされて。



そんなことを考えながら、唯を探して歩いていると後ろから腕を引かれた。


「だ、誰…、あ、玲於先輩…?」


なんか…猫のお面してるけど、たぶん、玲於先輩?


今度は王子様の格好じゃなくて、黒のクラスTシャツを着てる。


「メイド服でうろちょろしてると目立つ」


「あ、え、そうですか?」


他にも仮装してる人いるからわからないかと思ったけど…。


「てか、ミスコン出るとか聞いてないんだけど?」


「だって見られたくなかったんですもん…」


まさか審査員に玲於先輩がいるなんて思わないし…


出場するかもとかは思ったけど、出来れば見られたくないし…。


「ちょっとこっち来い」


「え、わっ」


またいつかと同じように腕を引かれて玲於先輩の後ろをついていくこの状況。


なんだか、玲於先輩の後ろ姿を見慣れてしまった気がする。


どこまで歩いて行くのかと思えば、校舎から離れた人気のない体育館裏まできた。


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