君の味に落とされて。
あんまり来ないなぁ…こんなとこ。
もうすぐ夏なのに、木が太陽を遮っているせいか少し肌寒く感じる。
あたしがきょろきょろしている間も先輩は進んで、やっと歩みを止めたのはベンチの前。
先輩がそのベンチに座り、そのまま引っ張られたから先輩の足の間に座る形になってしまった。
す、すっごい恥ずかしいこれ…!
背中が、先輩に当たらないように前のめりに座ってたのに、後ろからお腹に手を回されてあろうことかぴったりです。
みみみ、密着です。
もう顔が燃えそうなんですが先輩なにしてるんですか…!?
抱きつかれてるような格好…だし、体カチコチなっちゃって身動きが取れない。
先輩の心臓の音が背中に響くくらい近い。
耐えられないぃ恥ずかしい。
「顔赤いけど、だいぶ」
ひゃぁぁ!?顔が近い!!
横からあたしの顔を覗くから距離が近すぎる。
無理無理無理、でも、離してなんて言えない!
「こっち見ないでください…」
「さっきステージでだって森?とこのぐらい近くなかった?」
「こここんなに近くないですよ!」