君だけに贈るラブソング
えええ!?
混乱している私の手を強引に引いて。
春人は歩き出した。
なにがどうなっているのか、さっぱり理解不能。
なにを考えているんだ春人は。
でも、見かけに寄らず強情なんだなって、思った。
……本当は、ちょっぴり嬉しい。
私の手を引く春人の背中が頼もしくて、ひとりぼっちの私だから、その強引さが優しく感じるの……。
初対面なのに。
「お、お邪魔します……」
駅から近くのところにある高層マンションの最上階。
うわぁ……。
本当にお金持ちなんだ……。
1LDKの春人の部屋は黒っぽい家具が多くて、男らしい。
ギターや本棚にギッシリと埋められたCDに、音楽が好きなのは目に見えていた。
綺麗に整理整頓されてある……。
「突っ立ってないで座りなよ」
ぼうっと立ち尽くしていた私に春人が声をかける。
遠慮がちにガラス貼りのテーブルの前に座ると「なにか飲む?」ってすごく優しい。
表情は、相変わらず読めないけど。
「コーヒーは飲める?」
「飲め、ない……」
「ふーん。じゃあココアは?」
「飲める」
「わかった」
ポッドにお水を入れてセットするとカップを棚から取り出した春人。