君だけに贈るラブソング
私が小学4年生の頃に両親が亡くなって、それからは10歳年上のお姉ちゃんとずっとふたりで暮らして来た。
お姉ちゃんが私の両親代わりだった。
優しくて、時に厳しくて。
私はそんなお姉ちゃんの負担にならないように、今までちゃんとやって来た。
勉強も得意ではなかったけど、心配かけないように頑張ったし。
稼いで来てくれていたお姉ちゃんをすこしても楽させてあげようって、家事は全部私がやった。
そうやってお互い支え合いながら、生きていたのに。
『交通事故……?』
一昨日の夜、なかなか帰って来ないお姉ちゃんを心配していた私にかかって来た電話。
その内容は私の頭をいっきに真っ白にさせた。
仕事の帰り道。
いつも通り会社を出たお姉ちゃんのもとに車が突っ込んで来た。
飲酒運転だったそうだ。
『いってらっしゃい!お姉ちゃん!』
『行って来ます』
お姉ちゃんとの、最後の会話を思い出したら涙が止まらなくなる。
……お姉ちゃんの温かい笑顔を見ることは、もうできない。