君だけに贈るラブソング
粉々に砕け散って。
きっと、元に戻すことなんてできない。
わかるの、わかる。
ずっとふたりで暮らして来た。
私にはお姉ちゃんしかいなかった。
その、唯一無二の存在であるお姉ちゃんが死んだ。
この事実に、気持ちがついていかない。
無理だ。
理解しろなんて、無謀すぎる。
大きなボストンバッグを取り出して、洋服や必要なものを集めていくけど、涙がにじんで視界がボヤけて来る。
「……っ……」
あぁ、もうムリだ……。
涙を我慢できない。止まってくれない。
……あぁ、そっか。
「うっ……うぅううっ……」
もう、私の心は壊れているんだ。
心の傷に、気づいてないフリをしていた。
今日、朝、目覚めて。
お姉ちゃんがいないことを思い出したら、スーッと血の気が引いて行ったのがわかった。
だからガシャンと、心にシャッターを下ろしたのが自分でもわかった。
現実を受け止めたくなくて。
きっと何かの夢だ。
きっと何かの間違いだ。
そう言い聞かせて、春人にも朱理にも笑いかけていた。