君だけに贈るラブソング
「ほんとあいつも、死ぬ前も死んでからも迷惑しかかけないよな」
叔父さんの声にピクッと反応してしまう。
あいつって……お母さんのこと?
「どこの馬の骨かもわからねぇ男と駆け落ちなんかして、死んだと思ったら子どもだけ俺たちに押しつけて」
……聞き、たくない。
「あいつ、迷惑かけるために生まれてきたのかよ」
もう、いい加減にして!!
バンッーー!!
私達の間をへだてていたふすまを思い切り滑らせた。
何?と、親戚のみんなが私のことを見る。
「お母さんとお父さんの……っ」
ーー悪口を言わないで……っ!!
続きの言葉はくちびるをクッと噛んで殺した。
……こんな人たちと一緒に暮らしていくことなんて、できない。
「……っ……」
チカラいっぱい握りこぶしをつくると、そのまま私は葬儀場を後にした。