君だけに贈るラブソング



このまま春人が帰って来なかったらどうしよう……なんて変なこと考えちゃう。


お母さんやお父さん、お姉ちゃんのように……。


そんな頭の中の妄想をかき消すようにテレビを消して、ソファの上でうずくまった。


……寝れるわけないじゃん。ばか。


春人がいない、こんな広い家で。
ひとりっきりで。


無音の中で必死になって春人の音を探した。
あの日、出会った日に聴いた歌声を記憶の中で再生させる。


身体を揺らしながらリズムを取る。


何回、何十回もリピートして。
どれくらいの時間が過ぎただろうか。


手足の先が、完全に冷え切った時だった。


ーーガチャ……。


控えめな玄関の開く音に反応してリズムを取っていた身体を止めた。


春人が帰って来た……!?



「……莉緒?」



顔を上げるとビックリした様子の春人がそこにいた。


やっと、帰って来た……。



「なんで起きて……」


「眠れなくて、春人のこと待ってた」


「……あほ」


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