君だけに贈るラブソング
寒い夜道を、泣きながら走った。
2月の、終わり。
中学校の制服であるセーラー服を着た私のことを、すれ違う人たちは首をかしげて見た。
こんな遅くに中学生がなにしてんだって、感じの視線。
夜も深まった、深夜。
「ハァハァ……っ」
どれくらい無我夢中で走っただろう。
立ち止まって息を切らしながら見上げた空には無数の星。
駅前の公園にフラフラした足取りで入ると、止まった噴水のふちに腰を下ろした。
……これから私、どうなって行くんだろう。
お父さんとお母さんが死んで、今度はお姉ちゃんまで……。
私、ひとりぼっちに、なっちゃった。
膝を抱えてうずくまるようにして、ひとり悲しみを抱えた。
いっそのこと、私もそっちに行きたいよ、お姉ちゃん……。
ーーガツ。
その時だった。
すぐ隣に人影を感じてはっと顔を上げる。
視界に入った黒い物体は……ギターケース?
滑らかな曲線、形状からして間違いない。
そしてその突然現れたギターケースを挟んですぐ隣にあぐらをかいて座り込んだのは、男の子。
……すごく綺麗な、男の子。
肌の色が雪のように白くて、儚げな雰囲気。
色素の薄い髪の毛は癖っ毛で、長い前髪から垣間見える目は切れ長。
息を飲む、美しさ。