君だけに贈るラブソング


一瞬だけ、息の仕方を忘れた。



「…………」



そして、まるで私の存在をムシするかのように。


淡々とギターを取り出してチューニングを合わせはじめた彼。
私の熱い視線なんかまるで知らん顔だ。



「……あ、あの……っ」



控えめに声を出すとムクっと顔をこちらに向けた。
無表情なその顔にドキ!としてしまう。


なんなの、この人……。

存在感に、圧倒される。

こんな人、会ったことない……。



「……なに」


「ここ、私がいたんですけど」



泣いてる女の子がいるんだから、少しは気を使って他の場所に行ってほしい。



「でも、いつも俺が使ってるから」



頬の筋肉ひとつ使わずに言った彼になんだかムッとした。


……なによ。スカしちゃってさ。


かっこいいと思ってやってるなら大間違いなんですからねー!だ!


今時流行らないから、そんなキャラ。



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