君だけに贈るラブソング
ぶすっと彼がいる右側に背を向けて体育座りをした。
……夜風に揺れる木々たちの音がやけに大きく聞こえる。
ーージャラン……。
アコースティックギターの音が響く。
……すると彼は、歌い出した。
「…………」
なんて心地いい歌声なんだろう。低くてでも甘くて。すこしハスキーな声。落ち着く……。
あ。しかもこの曲知ってる。
私の好きなアーティストの歌だ……。
洋楽だから、誰に話しても知らないとしか言われなくて。
お姉ちゃんも、洋楽はあまり興味がなかったから……。
はじめて見つけた。
このアーティストを知ってる人。
「…………」
自然と、身体でリズムを取る。
そして惹きつけられるように、彼の歌に、私も小さく重ねて歌った。
すると途端にギターの音が止み、彼の歌も止まった。
……あ、しまった。
つい邪魔を……!
「ご、ごめんなさいっ。もう邪魔しないので、どうぞ歌ってくだ……」
「いや、歌ってよ」
「え?」