君だけに贈るラブソング



まるで幼い少年がずっと探していたカブト虫をようやく見つけたかのような、いたいけな瞳。


それを見て、あぁこの人は幼い少年の心を持った人なんだなぁと、心から思った。



***



「なんでこんな所で泣いてたの?」


「…………」


「……?」


「お姉ちゃんが……死んだ、から……っ」



しばらくしてギターを片付けながら、彼が私に問いかけた。


私の言葉に表情を変えずに、ただ真っ直ぐに私の目を見てる。


言葉にするの、すごく苦しい……。



「両親も、小学生の時に亡くなってて……ひとりぼっちになっちゃったから……」


「ん」


「これからどうしたらいいか、わかんない……っ」



なんでこんなことを初対面のこの人なんかに話してるんだろう、私。


だけど、聞いてくれたから。


話したら涙が出て来たけど、それでもなんか安心したんだ。


まるでなにかの魔法みたいに。


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