嵯峨野夢譚(さがのむたん)
嵯峨野夢譚116
「前の常陸宮様の姫君で初瀬の御帰りです。行きにもここへお泊りに
なりました」
「ほう。早く中にお入れなさい。こちらは奥に隠して」
薫の君は影からこっそりと姫をご覧になります。
じっと見とれて涙をおこぼしになりました。
なりました」
「ほう。早く中にお入れなさい。こちらは奥に隠して」
薫の君は影からこっそりと姫をご覧になります。
じっと見とれて涙をおこぼしになりました。