嵯峨野夢譚(さがのむたん)

嵯峨野夢譚56

身内の者は皆濃い鈍にび色の衣、棺には白単衣の源氏が
笑みを浮かべて収まっています。焼香が始まり樒しきみを
一人づつ棺に納めて最後のお別れをします。

樒に埋もれた源氏はことさら美しく生きているように微笑んで
いました。
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