嵯峨野夢譚(さがのむたん)

嵯峨野夢譚60

僧たちは急ぎ骨壺を用意して親族に骨拾いをせかせます。
無常の煙と灰の香りが一帯に広がり、人々はこの世と
あの世の境を漂っているように見えました。

すると突然誰かが大きな声で叫びました。
「薫様じゃーっ!」
皆一斉にはるか東のほうを見つめます。
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