嵯峨野夢譚(さがのむたん)

嵯峨野夢譚66

二人の兄弟は雨の中、しばし黙してたたずんでおられました。

林の影から傘の中、一人の尼宮がずっとこちらを窺うかがっておられます。
それは女三宮の尼君。雨脚はさらに強くなり。嵯峨野は空も人も
すべてが鈍色にびいろに覆われてしまいした。
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