シェリーに捧ぐ

「ありがとうございます。 だって今の時間て丁度帰宅ラッシュと重なるじゃないですか、そんな中に飛び込む勇気、あたしまだないんですよね」

ようやく屈託の無いいたずらっ子のような柔らかい笑顔を見せる、肯定的な言葉を聞いてすこぶる安心したみたいだ。

「あー、わかるわかる。俺も密着されるのはどうも苦手なんだよね。」

「先輩も?だから何時も車通勤なんですね。」

「まあ、そんな辺りかな」

そんな急な懇願と会話から、これが俺と彼女との恒例というか日課になるにはそう時間はかからなかった。
この時はその理由も後付けされたものとは気づきもしなかったけれど。
< 2 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop