シェリーに捧ぐ

しかし実際のところ、それには大きな誤解が生じる。自分でいうのもなんだけれど、確かに仲の良さは粉う方がないものだ。けれども、それはただの上下関係としての事。

荷物を後部座席に入れ込み、ほぼ定位置に成り得ているであろう助手席に迷うことなく座り込む彼女。それを見届けて俺も運転席に乗り込んでエンジンをつける。
その音を皮切りにワントーン落とした声が車内に響き渡る。いつも見せる華やかで愛らしい無邪気な笑顔の代わりに見せるのは、悲痛に苦しむ儚げな苦笑い。
その哀しげな笑顔は俺にしか見せない。
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