~Lion Kiss~
私は社長室をそっとノックした。

「開いてる」

來也の声が聞こえて、ホッとしながら私はドアを開けた。

「……來也……」

黒で統一された洗礼された社長室に、來也はいた。

恵美理さんと。

ズキッとするような痛みが胸に走り、私はみるみる硬直した。

な、んで。

どうしてここに、恵美理さんが?

デスクの向こうの椅子に腰掛けた來也のすぐ隣に恵美理さんは立っていた。

そして、彼女は泣いていた。

……なんなの、どうして泣いてるの。
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