~Lion Kiss~
「……ごめんなさい……許して。そんなつもりはなかったの」

な、んで、どうして!?

ガタガタと全身が震えて、一気に身体が冷たくなる。

嗚咽を漏らす恵美理さんに、私は言った。

「どうしてよ?どうしてっ。來也、來也」

私はカバンを放り出すと來也に駆け寄った。

恵美理さんは震える声で話し出した。

「話をしてたの。だって彼が好きなんだもの。けど、彼は藤吉さんを愛してるって……。拒まれて私が取り乱して『死ぬ』って言ったら來也がナイフを取り上げようとして飛び掛かってきてっ」

彼女は一度大きく息をして、それから続けた。

「私の足と來也の足が絡まって……揉み合いになって転んだの。……刺す気なんかなかった!!」
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