~Lion Kiss~
來也はそんな私を至近距離から見つめてクスリと笑った。

「そんな顔すんな。大したことない。リダイヤル見て」

私は指が震えそうになるのを一生懸命抑えながら、総二郎さんの番号を探した。

……あった!

総二郎さんは直ぐに電話に出た。

『來也?』

「総二郎さん、マヒルです。來也に代わるね」

『分かった』

來也にスマホを渡すと、彼は大きく息をして話し出した。

「総二郎。脇腹を怪我したんだ。事を大きくしたくない。お前の兄貴の病院に連れてってくれ。ああ。分かった」

恵美理さんは、両手を胸の辺りでギュッと握りしめて泣き続けていた。
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