~Lion Kiss~
「來也、大丈夫?」

「ああ。……刺さってる割には大して痛くない」

「私、ちょっと見てくる」

「俺のスマホを持っていけ」

私は來也のスマホを受け取ると、エレベーターホールへと急いだ。

丁度上がってきたエレベータの中を、私は覗き込んだ。

中に総二郎さんがいるかもしれないと思って。

「マヒル!?」

エレベーターに乗っていた数人のうちの一人が、治人さんだった。

治人さんとは六本木のマンションから荷物を運び出した時以来だった。

「どうしたの、マヒル」

きっと、このビルに取引先の会社や傘下の企業があるのだろう。
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