~Lion Kiss~
その時、來也のスマホが鳴った。

総二郎さんだ。

『マヒル?俺の兄貴には話をつけたから、タクシー呼んで來也を連れていってやってくれ。俺がそっちに戻ってたら遅くなっちまう』

「分かった」

私はスマホをしまうと治人さんを見上げた。

「ごめんなさい治人さん。私、行かなきゃ」

「待って、マヒル」

電話を終えた治人さんが私を引き留めた。

「地下駐車場に僕の車がある。僕の車で病院へ運ぼう」

私は信じられない思いで治人さんを見つめた。

彼は素早く状況を読み、私達を助けてくれようとしているのだ。
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