First Kiss〜先生と私の24ヵ月〜
泣くたびに苦しみの鱗がひとつひとつ剥がれ落ちていく。

人魚姫のように、全ての鱗が剥がれ落ちたなら、私も一人の人を愛した女性になれるのかな。

もし、そうなら、私は本当にもう十分だよ。


私と紅は青空の下で、泣きながら笑った。

笑い声にかき消されて、屋上の入り口近くでした足音に気づくことは出来なかった。

その足音が遠ざかっていく音にも。

そして、閉じたドアに挟まれていた、一通の封筒の存在にも。
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