First Kiss〜先生と私の24ヵ月〜
それは私にとってもとても悲しいことだけれど、ハルの気持ちを考えたら、私の傷なんて大したことではないように思えた。

好きでもない相手と、一つになる。

それはきっと苦しいこと。

それでも私を守るために、ハルは…。

私は涙を拭いながら、あの日、空に誓ったんだ。
もう、ハルを絶対に手放したりしない。

離れていて、愛する人のそばにいられないことがこんなにも苦しいことだなんて私は知らなかったよ。

だから、私はずっとハルのそばにいたいから、ハルとの約束を守る。

そう、決めたんだ。


あの手紙に書かれたことを実現すべく、私は紅と町中の手芸店を回った。
色とりどりのリボンが売られていて、どれにしようか、とても迷った。

そんな私を見て、紅が、
「どうせだから、全部買い占めちゃおうよ」

と言い出した。

私は少し悩んだけれど、貯金をおろし、買えるだけのリボンを購入した。
赤、黄、緑、白、ベージュ、チェック。

カラフルなリボンが私の手に持った紙袋の中で揺れている。

私は高鳴る胸を押さえながら、紅と夜になるまで、ファーストフードで時間をつぶした。
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