First Kiss〜先生と私の24ヵ月〜
春雪の授業でもキョロキョロ視線を泳がせ、名指しで注意された。

でもそのときの春雪のまなざしが本当にやさしくて。

自分が春雪に愛されてる、ってことをとても誇らしく思った。

叫びだしたくなるくらい。

春雪を愛してるんだよ、って堂々と言えたらいいのに。

でも今は、我慢。


授業が全て終わったので、私は学校のそばの総合病院のトイレで私服に着替えた。

放課後、私服で遊ぶ生徒たちがよく利用するトイレだ。

私が着替えて、春雪の車に向かうと春雪は車の中で目を閉じて眠っていた。

ガラスをコンコンと2回叩く。

ゆっくり目を開ける春雪の瞳に一番に映ったのが私だ、って言うことがすごく嬉しくて。

同時に甘くてとろけそうなほどの笑顔を見たら、胸がいっぱいになった。
夢を見てるのかな。

そんなことを疑いたくなるほど、幸せで。

私は春雪の開けてくれたドアから車に乗り込んだ。


「お待たせ」

私が言うと、春雪は静かに私の額にキスをして、
「いろは、すげぇ可愛い…」

そんないつもより乱暴な言葉遣いも新鮮で、ドキドキした。

春雪の顔を見ると照れているのか顔が真っ赤だった。

「もしかして、照れてる?」
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