First Kiss〜先生と私の24ヵ月〜
私が尋ねると、耳まで真っ赤に染めて、

「だっていろは今日めちゃめちゃ女らしいって言うか。雰囲気がいつもと違うし」

今度は私が照れる番だった。

それから軽く唇でキスをして、春雪は私の髪を梳きながら、

「今日はあきは、友達の家に泊まるって言ってたから安心して出かけられるな」

「うん、いくら遅くなってもいいよ」

「そういうわけにはいかないよ、俺、一応教師だし」

「もう、そういうときだけ教師に戻るんだから」
「まぁ、いいじゃん」

そう言って春雪が不意打ちのキス。

春雪の前髪が私の顔に触れて、整髪料の甘い匂いがした。

それだけで呼吸がとまりそうなほど緊張した。

でもすごく満たされた気持ちになった。


車の中に私が持ってきた、甘いバラードばかりを集めたBGMが流れている。

私は助手席に座りながら、春雪と色んな話をした。

好きな食べ物はなに?

休日はどう過ごすの?

お気に入りのジーパンのブランドは?

春雪のことは何でも知りたかった。

全てを知って、私もそれを共有できたなら幸せなんだけどな。

そんな会話を美術館に着くまでずっとしていた。

美術館に着くと、私たちは駐車場に車を止めた。
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