First Kiss〜先生と私の24ヵ月〜
春雪の声は透き通ったピアノ線のように繊細で、綺麗にあたりに響いた。
私が春雪の顔を見上げると、春雪は私の顔に自分の顔を近づけた。

そして私のおでこに自分の額をくっつけると、

「俺が、幸せにするから」

私たちは向かい合ったまま、額を合わせて手をつないだ。

まるで一枚の鏡をはさんで自分と向き合っているような気分だった。

「うん、絶対に幸せにしてね。ずっとずっとそばにいてね」

私たちはマリア像の前で静かに唇を重ねた。


風の音が私たちの幸せを祝福する鐘の音のように聞こえた。

ずっと、この幸せが続きますように。

私は胸の中で強くそう祈った。
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