First Kiss〜先生と私の24ヵ月〜
「はい。私は、家族に必要のない存在なんです。だからきっといてもいなくても一緒なんだと思います」

すると真咲さんは大きく頭を振った。

それは違う、とでも言うように。

でもそれ以上、真咲さんは何も言わなかった。


夜。

食事を終えて、春雪と交換した手紙の中でも気に入ったものを持ってきたので、読み返した。

「いろは、今日、体育でボール顔面キャッチしてただろ?思わず授業中なのに吹き出しちゃったよ」

「なぁ、いろは。今度俺に弁当作ってよ。学校の食堂のランチ、まずいんだもん。あーあ、いろはの手料理が食いたい」

「ふぅ。今やっとあきはからの電話が切れたところ。ずっといろはのこと考えてた」

「いろは、愛してる。ずっとそばにいような」

私は泣きながら一通一通を読んだ。

こんなにたくさんの愛をハルは私にくれていたんだね。

私はハルに何をしてあげられる?

ずっと心で思うことしかできないの?

会って、ギュッと抱きしめてほしい。

キス、して欲しい。

そして…いつかは…。
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