First Kiss〜先生と私の24ヵ月〜
翌日。

真咲さんが朝からテンションが高いので、なんだろう、と思っていると、
「きょ、う、の、お、ひ、る、か、ら、お、ん、が、く、さ、い、が、あ、る、の」

「音楽祭?この近所でですか?」

頭を縦に振る真咲さん。
私はそれを聞いてなんだか楽しみで、胸がドキドキしてきた。

「い、ろ、は、ちゃ、ん、いっ、しょ、に、い、き、ま、しょ、う?」

「はい!!もちろんです!!!!」

音楽の好きな私は俄然乗り気で。

化粧もばっちり決めて、洋服も選んだ。

ロンTにラメ入りのレギンス、足元はラウンドトゥーのバレエシューズ。
頭に真っ赤なキャップをかぶった。

それを見た真咲さんは笑いながら、

「す、ご、い、き、あ、い、ね」

「私、音楽がすごく好きなんです。辛いときとか寂しいときとか、いつも音楽に救われてましたから。だから本当に楽しみ、っていうか」

真咲さんは納得したように頭を縦に何度も振った。


太陽が頭上高く輝いていた。

時間は午後1時。

音楽祭の行われる野外ステージの前はすごい人だかりで、私は迷子になりそうだった。

真咲さんとはぐれないように、手をしっかりつなぎ、席を探した。
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