First Kiss〜先生と私の24ヵ月〜
私も子供の頃習ってたから少しだけ弾けるけど、そんな素人の私でもわかるくらい上手だね。

サビにあわせてステージの両脇から小さな子供のダンサーが、ティアさんと同じワンピース姿であらわれた。

3人で踊る姿は本当に芸術としか言いようがなかった。

私は思わず目から涙がこぼれた。

踊り終えたティアさんがマイクをもって、少しも息を切らせずに言った。
「私は、高校生のときにダンスクラブに所属していました。でも歌手になる夢をかなえるために、高校を辞めて、音楽一筋できました。今でも思い出すのは、同じクラブの仲間が舞台の上で生き生きと踊る姿です。私は自分の選択を間違えたかな、と思ったこともありました。それを思い出すと、いつも涙が溢れます。でも今はたくさんのすばらしい人たちと出会い、こうして夢に近づこうとしています。そんな私から皆さんに伝えたいメッセージをこめて、このダンスと曲を贈ります。『Tears』。聞いてください」

コータがゆっくりとピアノを奏で始めた。

ティアさんが静かに歌い出す。
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