First Kiss〜先生と私の24ヵ月〜
Chap♪8 愛を乞う人
私が家を出て、タクシーを拾う頃には雨も上がって、ところどころに千切れた雲が浮かんでいた。
雲の間から見える空はオレンジ色に染まり、柔らかな光を放っていた。
セミがジージーと再び鳴きだし、辺りはにわかに騒がしくなってきた。
ここから母親の言っていた病院まではタクシーで30分くらいだと、タクシーの運転手は言った。
私は内心ドキドキしながらタクシーの窓から外を眺めていた。
病院に来い、とはどういうことなのだろう。
何かが起こったことは間違いないけれど、誰に何が起きたか母親は言わなかった。
全く見当がつかなくて私は携帯電話を開き、母親の携帯に電話をかけた。
けれど、電波が届かない、と冷めた音声が流れるだけだった。
目的の病院に着いた頃には夕日が傾きかけていた。
遠くに見える入道雲が先ほどの雷雨の強さを物語っていた。
受付で名前を告げると、看護師さんは個室に通してくれた。
そこにはベッドを囲んだ母親と、あきは姉ちゃん、かずは姉ちゃんがいた。
私は静かに声をかけた。
「お母さん」
母親は静かに振り返る。
ベッドには父親が横たわっていた。
雲の間から見える空はオレンジ色に染まり、柔らかな光を放っていた。
セミがジージーと再び鳴きだし、辺りはにわかに騒がしくなってきた。
ここから母親の言っていた病院まではタクシーで30分くらいだと、タクシーの運転手は言った。
私は内心ドキドキしながらタクシーの窓から外を眺めていた。
病院に来い、とはどういうことなのだろう。
何かが起こったことは間違いないけれど、誰に何が起きたか母親は言わなかった。
全く見当がつかなくて私は携帯電話を開き、母親の携帯に電話をかけた。
けれど、電波が届かない、と冷めた音声が流れるだけだった。
目的の病院に着いた頃には夕日が傾きかけていた。
遠くに見える入道雲が先ほどの雷雨の強さを物語っていた。
受付で名前を告げると、看護師さんは個室に通してくれた。
そこにはベッドを囲んだ母親と、あきは姉ちゃん、かずは姉ちゃんがいた。
私は静かに声をかけた。
「お母さん」
母親は静かに振り返る。
ベッドには父親が横たわっていた。